菊と刀 (光文社古典新訳文庫)

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制作 : Ruth Benedict  角田 安正 
  • ¥ 994
  • 光文社 (2008年10月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751692

菊と刀 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

  • 日本人の思想についての考察をした本。少し首を傾げる点もあるしそれはさすがにこじつけだろって突っ込みたくなる部分もあるけどこの本が評価される所以は、戦時中にアメリカの文化人類学者が一度も日本を訪れることなく調査をしここまでの仮説を打ち立てたからだ。
    その背景を踏まえると確かにこれは優れた考察といえる。でもやっぱり百聞は一見にしかずと言わざるを得ない点もあり。
    ただ評価はどうあれ日本人の思想を紐解く一助にはなるから読んで損はないと思う。

  • 学生時代に旧訳で読んでわかりずらく、とうに忘れていたものを光文社新訳シリーズに期待して再読。
    取り上げられているテーマは面白いものばかりなのだが、これは文化論ではなく文学か?と思わせる内容。
    座学/聞き取りでこれだけのものを書けるということは、想像力たくましいとの表れか。
    といっても、日本でも今尚、書店にて「嫌○/親○本」が堂々と並べられそれなりには売れているらしいので、当時としては何をか況や。
    各章がぶつ切りな印象を受けるので、どこから読んでも良い気がする。

  • /////感想/////
    上下関係を重んじるのは今でも通用する認識だが、天皇への忠誠心、ところどころ「古い人間についての説明」に聞こえる。
    この本を読んだからといって何が変わるのかがいささか疑問に思った。
    //////////

    多くの東洋人と異なって日本人は、文を綴ることによって自分自身をさらけ出そうとする強い衝動を備えている。
    日本が戦争を正当化するために依拠した前提ですら、アメリカの考え方とは正反対であった。国際情勢の解釈の仕方が異なっていたのである。アメリカの考え方に依れば、戦争の原因は中枢国の侵略行為に会った。略)日本は戦争の大義を他の観点から見ていた。つまり、各国が絶対的な主権を持っている限り、世界の無秩序は一掃されない。日本は国際的な上下関係を確立するために戦う必要がある。そのような階層の頂点に立つのは、もちろん日本である。
    日本人の生得の信念で、半永久的に変わらない物がある。そのうち最重要の物は、階層的な上下関係に対する信仰である。 平等を愛するアメリカ人にとって、それは疎ましいものである。
    日本人は秩序と階層的な上下関係に信を沖、アメリカジンは自由と平等に信を置く。
    日本人は、常に上下関係を基準にして自分たちの世界を秩序立てる。家庭や個人的な人間関係においては、年齢・世代・性別・階級ごとの作法に従わなければならない。政治・宗教・軍隊・産業においては、身の置き所が改装に沿って区切られており、上のものも下の者も、おのおのの分を超えると必ず罰せられる。
    直接の競争をできるだけさけようとする傾向は、日本人の生活の隅々人まで浸透している。
    日本人は汚名をすすぐという義務にかくも力点を置いているが、それゆえに実際の生活では、できるだけ侮辱を感じなくても済むように事を運ぶ。
    日本人は、失敗すること、また、人から悪く言われたり拒絶されたりすることに対して傷つきやすい。そのため、えてして他人を責めるより自分自身を責めがちである。教養のある日本人は過去数十年、鬱屈した気持ちを募らせた挙句、怒りを爆発させて憂さを晴らすことが良くあった。日本の小説はこのような感情のパターンを幾度となく描いている。

    アメリカジンは自殺を非難する。それは、自暴自棄になって絶望に身を任せることに他ならない。だが、日本人は自殺に対して敬意を払う。
    西洋の哲学に依れば肉体と精神という二つの力は、それぞれの人間の営みにおいて優位を争おうとする。だが、日本人の哲学においては、肉体は悪ではない。肉体の楽しみを満喫することは、いささかも罪深いことではない。
    日本の戦争映画を鑑賞したアメリカジンは往々にして「今まで見た反戦映画の中で最高の作品だ」と評する。これはアメリカ人の典型的な反応だ。なぜなら、それらの映画はもっぱら戦争に伴う犠牲と苦痛を主題としているからだ。
    日本人は鍛練が自分の利益に繋がると力説する。しかし、日本人の規範がしばしば要求する極端な行動は、彼ら自身にとって正真正銘の深刻なフラストレーションの原因となる。
    ヨーロッパでの苦行の目的は、肉欲を克服することで会ったり、神の慈悲を請うことで会ったり、光陰状態を呼び起こすことで会ったりする。日本人が好む寒行にも夜明け前に身を着るように冷たい滝に打たれるとか、冬、一晩に三回冷水を浴びるなどの行がある。しかしそれは、目的が異なる。意識する自己を鍛え、苦痛を感じない境地に達することをねらいとしているのである。求道者の目的は、迷走が途切れることなく続くように己を鍛えることにある。冷水を浴びても衝撃を覚えない。夜明け前の寒さの中にあっても、身体の震えを覚えることがない。その境地を切り開いた時、達人になるのであった。見返りはそれだけである。

  • 【日本に一度も来たことない/アメリカ人女性による/70年近くも前に書かれた】本のはずなのに、「あーね」「分かるわー」「それな」連発。参りました。笑

    少し前の「そのツイート玄関に貼れますか?」事案もそうだが、表面は変われど本質は変わってないんだろうな、日本人って。ベネディクトさんまじ慧眼。

  • 原題:The Chrysanthemum and the Sword
    著者:Ruth Futon Benedict (1887-1948)文化人類学者
    翻訳:角田安正(1958-)ロシア地域研究、防衛大教授(つのだや すまさ)
    ※底本は『The Chrysanthemum and the Sword』マリナー・ブックス版(Mariner Books,2005)


    【内容紹介文】
     第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。ロングセラーの画期的新訳。
    http://www.kotensinyaku.jp/books/book68.html

    【目次】
    謝辞  011
    研究課題――日本 013
    戦時下の日本人 043
    応分の場を占めること 078
    明治維新 126
    過去と世間に負い目がある者 156
    万分の一の恩返し 183
    義理ほどつらいものはない 213
    汚名をすすぐ 230
    「人間の楽しみ」の領域 281
    徳目と徳目の板ばさみ 309
    鍛錬 362
    子どもは学ぶ 398
    敗戦後の日本人 468

    解説  504
    年譜  528
    訳者あとがき 536

  • 日本に来たことがないだけあって、ややまとはずれな点もあるが、なんとも日本人の特質をとらえている。
    分別をわきまえる文化を世界に広めようとした結果があの戦争だとするのは大変興味深い。終戦についても、明治維新についても、変わらない日本人の根っこのようなものをとらまえて分析している。表面的には右から左への転向にみえても、何かに狂信的なほど従うという国民性は変わらないという日本人だけでは気がつかない日本人のおかしさがきちんと描かれている。

  • 【引用】
    「日本人は、つねに上下関係を基準にして自分たちの世界を秩序立てる」

    ある日本人作家は次のように述べている。「日本人は、家を非常に大事にしている。しかしだからといって、家族一人ひとりを——あるいは、家族一人ひとりを相互に結び付けるきずなを——大いに尊重しているとはとても思 言えない」  

    ・・・・・・・・・・・

     ま、書かれた時期からいって、本書に登場するのはいかにも古典的、土着的な日本人像で、現在ではかなりモデルチェンジが進んでいるのではないかと・・・

    後半はたんなる生活スケッチのようになっていくな。

    春が根の輪や剪定がなくても美しく咲く菊=自由と、侵略の象徴ではなく自己責任を意味する刀。日本人の意識はこの二つに分裂しているというのが本書の結論か。

  • 日本の秩序は法律のような外面的な強制力を伴うものでなく、個人の内面的な美意識などによって形成されているのだろう。恥の文化をはじめ日本人の美徳や精神の純粋性といった特殊性をマイナス部分も含めて肯定的にとらえる。こうした美意識によって日本人の自尊心は支えられ、わたしたちは安心感を覚えることを心得ておくべきである。自前の拠り所を支えにして独自のやり方でさらに自尊心に磨きをかけなければならない。また、ゼロリスク思考にとりつかれ人に迷惑をかけちゃいけないとか失敗を恐れすぎたり、美徳を守ろうとして身動きが取れなくなったりするのではなく、誰もがみんな人に迷惑をかけて生きているのだから人のことも許してあげようという寛容さも必要だ。

  • はじめに驚いたこと、
    結構多いみたいですが、著者は女性(!)だということ。
    そして、一度も日本に行ったことはないこと。

    確かに誤っている部分はありますが
    それでも、十分すぎるほどに
    日本人、というものを鋭く捉えています。
    しかもこれが書かれたのはおよそ70年前。
    驚きですね。

    そして、遠い未来は予測されてますね。
    もしかしたらこれを読んで
    「いけない」ということを学ぶことが
    ある種の鍵なのかも…

  • 日本人を考察した古典的な本。内容の精密さという点では稚拙な部分があったが、当時の時代背景等を考えればこの点については仕方がないだろう。それ以上に、著者の日本人に対する見方・観点はたいへん鋭いものがあり、ハッと気づかされる部分が多かった。現在の日本の「恥の文化」は著者が感想を抱いた過去の日本と比較すれば大分濃度は薄れているように感じるが、その根底は変わらないだろう。

  • 名著として読む価値はあると思います。学生時代に読んだときは挫折してしまいましたが、改めて読むと「菊」と「刀」にはそういう意味が込められていたのかと感心。日本人として疑問に思う箇所は多々ありましたが、滞日経験なくこれだけの考察をまとめ上げたのはすごいです。禅の「公案」による悟り(p387~)は初めて知って興味深かった。

  • 日本人論の古典的作品として有名な本書、学生時代に読んでみた時には翻訳が難解すぎて、数ページ読んだだけであっけなく挫折。新訳書が出ていることを知り、ウン十年ぶりに再挑戦したら、読みやすかった。
    もっとステレオタイプな日本人論が展開されているのかと勝手に思っていたが、日本人の行いや心理への目のつけどころが鋭く洞察が深い。特に、日本人自身も明瞭に説明しずらい天皇制についての考察は興味深い。
    戦後生まれの世代には、名実ともに「古典」となってしまっている日本人の習わしも分析されているが、子供の頃の昔話を聞いているような懐かしさがある。

  • すごく精緻な日本人の分析だった。日本人あるあるネタもあるし、自分が考える所以となった背景が分析されていたのはすごく興味深かった。

  • ◎蔵書 □


    要約; 


    コメント; 

  • 昔からこの著書のことは知っていたが「日本語の論理」(外山滋比古氏)に書かれていたので読んでみたいと思った。訳者泣かせの難解な部分があり、途中何度も読みずらいと感じた。しかし、これを超える優れた日本論はなかなか現れないというのはうなずける。学問的裏づけ、方法論をもった著書である。題名の「菊」と「刀」の意味がわかるのは終盤である。読者それぞれが自分のイメージをもって読むと面白いかもしれない。マッカーサーと天皇の話にもふれられていて、戦後処理を知る上でも興味深い。

  • 2013年8月8日読了

  • 読むまでは「罪の文化、恥の文化」というイメージだったけど、意外に少なかった。読んでてなるほどな分析もあったけど、現代では消えてしまった価値観・文化に意識が行く。

  • 一ヶ月近くかけて読了。知り合いに大学生の必読書として紹介された内の一冊。様々な角度から語っているため内容は重複しやや退屈ではあったが、世に出てから50年がたった今でも新鮮味がある。

  • 今まであまり自分の価値観や考え方がアメリカ寄りだとか思ったことなかったけど、この本を読んでいてふとそう感じるところがあり、はっとした。
    家族観に仕事観…戦前と戦後の日本の価値観の変化ってものすごいものがあるなと思った。
    憲法改正についての議論が高まってきていることもあり、一人の日本人として今の、そしてこれからの日本についてどう考えるのか、きっかけとなる一冊になった。

  • 今なお「日本人論」の決定版といえる古典的名著。実は大学時代にゼミの教授から「絶対に読んでおきなさい」と言われ、「はい」と答えて放置すること20年。ようやく義理を果たせました。
    そう。本書はこの「義理」が大きなテーマです。日本では、義理を果たすことを促す力が強力に働いています。義理を果たさないでいると、妙にそわそわすることがありますね。それはどうやら私たち日本人に特有の性向らしいです。
    60年以上も前に著された本書ですが、今もなお売れ続けるのは、やはり時代を超えた洞察力でしょう。今も色あせない、というより、今こそ耳を傾けるべき示唆に富んでいます。
    たとえば―。
    「アメリカの生活の仕組みにおいては、競争は望ましい社会的効果をあげるが、日本ではそれと同じ水準の効果は期待できない。(中略)心理テストが示すところによると、わたしたち(米国人)の仕事の出来が最高になるのは、競争に刺激されたときである。ところが日本では、(中略)事情が変わってくる。競争相手がいる状況でテストを受けると、成績が落ちるのである」
    「誠という言葉は、私利私欲に恬淡としている人を称賛するために、繰り返し用いられている。このことは、日本人の倫理が利益の追求を強く非難していることの現れである。利益は、階層的秩序のもたらす自然な結果でない限り、搾取の結果と判断される」
    「中国の当面の目標は軍事力の増強である。そして、その野心はアメリカによって支えられている。日本は、軍事力の増強を予算に計上しなければ、やる気次第で数年のうちに繁栄のための態勢を整えることができよう」
    現在、盛んに報道されているTPPを念頭に置けば、次の指摘は実に考えさせられます。
    「アメリカ人は、絶えず挑戦してくる世界に対応するために、生活全体の調子を加減する。また、そのような挑戦を受けて立つ構えができている。ところが日本人は、手順通りの図式的な生活様式に支えられて初めて安心するのである。そこでは、見えないところからやって来る脅威が最大の脅威と見なされている」
    専門家によれば、明らかな事実誤認や瑕疵が見受けられるそうですし、素人の私から見ても現代の日本人にはそぐわない記述も随所に見受けられます。
    たとえば―。
    「妻は夫のために人生を犠牲にする。夫は自分の自由を犠牲にして、一家の稼ぎ手となる」
    このような自己犠牲の観念は、特に若い世代の多くには理解しがたいことでしょう。
    「なぜ夫のために自分を犠牲にしなければならないのか」
    「なぜ自分の自由を犠牲にしてまで家族を守らなければならないのか」
    そんな反論が容易に予想されます。
    しかし、それ以上に本書は、日本人とはどういう性質を持つか国民なのかについて、実に正鵠を射た論考を展開しています。
    著されてから60年以上たった今も、日本人はほとんど変わっていないことに気づかされ、喜ぶべきか悲しむべきか、複雑な気持ちになりました。

  • <第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。>

    日本人の家督制度や封建制度等についても書かれており、日本人は上下関係、身分制度等があり上の者に対しては敬意を払うという部分、日本人を米国人より見下している様な記述が目立つ。
    戦時下の捕虜の扱いや自国の兵についても日本人は、生きて恥をさらすより死が美徳であるとし、日本人は下等で米国人上位という記述も多い。

    実際は戦時下の日本は占領国についても占領国国民と良好な関係を築いていたという事からも、日本人をよく調査していない証拠である。「日系人や滞日経験のある米国人たちの協力」によって書かれている為、照査していないのかもしれないが余りにも事実とは異なっている。

    確かに日本は身分制度があり武士が上位という時代もあったが、明治以降の近代日本においては世界にその規律の高さと品位を示したと言われる。

    米国の方こそ黒人差別が酷く、第二次世界大戦では日本への無差別空襲や原爆投下等があり、ベトナム戦争ではベトナム人女性への凌辱が繰り返された筈である。

    前評判や書評で興味を持ったが、読んでみると愚書であった。

  • 新書・文庫  389.1||ベネ

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